糖尿病

糖尿病は今や国民病

 糖尿病は、血液中のグルコース(血糖)が増加し、血管疾患を引き起こす病気です。食事をすると、血糖が上昇しますが、この高血糖の状態を放置すると毛細血管が障害を起こし、網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こしたり、動脈硬化のリスクが高まったりします。

2型糖尿病が全体の9割以上

 食事をすると膵臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げる働きをします。インスリンが分泌しなかつたり、量が少なかったりするのが「1型糖尿病」で、先天的な疾患であり、子どもに多くみられます。これに対し、インスリン自体の働きが低下しているものが「2型糖尿病」で、糖尿病の9割以上を占めています。最近では子どもにも2型が増えています。

 糖尿病は生活習慣病の一つで、平成24年の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人」は約950万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」は約1100万人もいて、今や国民病といえます。

糖尿病の症状と特徴

 糖尿病は、病状がかなり進行するまで目立った症状はみられませんが、病状が進むと次のような症状が現れます。

  異常な食欲とのどの渇きがあり、水分を多量に摂るため、トイレに行く回数が増えるようになります。また、からだがだるく、疲れやすくなる、急にやせて体重が減少する、皮膚がかゆくなったり、できものができやすくなる、傷が治りにくくなるなどの症状が現れます。さらに悪化すると、性欲減退、視力低下、手足のしびれ、こむら返り、歯周炎の悪化、足のむくみなどもみられるようになります。

 糖尿病の怖さは、糖尿病自体よりもその合併症にあります。病原体に対する抵抗力が落ちて感染症にかかりやすくなる、神経障害や血管障害を起こすなど、合併症は全身に現れます。

 とくに注意しなければならないのが、失明する危険の高い糖尿病網膜症、尿毒症や腎不全に陥る危険の高い糖尿病性腎症、しびれや痛みを引き起こしたり、壊疸を引き起こす原因のひとつでもある糖尿病性神経障害の3大合併症です。糖尿病特有の合併症ではありませんが、動脈硬化も促進されます。早期発見、治療が大切といわれる理由は、命にかかわる合併症が進むのを防ぐ必要があるためです。

 糖尿病は遺伝も関係しているといわれていますので、家族内に糖尿病歴がある人は、とくに注意し、健診を受けましよう。

糖尿病の原因

 糖尿病は、体内に摂取した糖分をエネルギーに変える糖代謝システムが正常にはたらかなくなり、糖分を使わないため血液中の糖分がたまってきて高血糖になる状態をいいます。

 糖分をエネルギーに変える際、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが重要な役割を果たしています。インスリンは、食事から摂取したブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源に変える作用を促進します。このインスリンの分泌が不足したり、はたらきが低下したりすると、細胞はブドウ糖を取り込みにくくなり、そのため血液中にブドウ糖があふれた状態になります。血液中のブドウ糖を血糖といいますが、つねに血糖値が高い状態で、あふれたブド
ウ糖の一部は尿糖となって排泄されます。糖尿病は、大きくふたつに分類されます。ひとつは、インスリンを産生する膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病で、若年層に多くみられます〈小児糖尿病〉。もうひとつは、食べすぎや運動不足、肥満、ストレスなどのよくない生活習慣が引き金となり、インスリンのはたらきが低下して、高血糖の状態が続く2型糖尿病です。患者全体の約9割、成人発症のほとんどがこのタイプですが、最近では若年層でも増加傾向にあり、問題となっています。

  このほか、遺伝子異常や特殊な病気が原因で起こるタイプや、妊娠中に発症する妊娠糖尿病もあります。

食べ過ぎと運動不足が原因

 2型糖尿病の最大の原因は、食べすぎと運動不足です。それに加えて、喫煙、アルコールのとりすぎやストレスなども原因となります。つまり、生活習慣が要因となる生活習慣病なのです。もともと、日本人は糖尿病になりやすい遺伝子を持っている人が多いといわれているので十分注意が必要です。

食生活のポイント

バランスの良い食事が糖尿病予防の大原則
  1. 適正なエネルギー必要量を守る 自分の適正なエネルギー必要 量を知り、食べすぎを防ぎましょう。甘いものや脂っこぃ米斗理は控えめに。
  2. バランスの良い食事をする 生活習慣病を防ぐためには、ビタミンやミネラルが必要で す。偏りがないよう、色々な食品を食べましょう。
  3. 1日3食きちんと食べる 生活リズムをととのえ、朝食を抜かず、3食規則正しぃ時 間に食べましょう。
  4. 間食を減らす 間食はなるべくしない方がよ いでしょう。口寂しぃときは、低力ロリーのものを少量とるようにします。

よく噛んで肥満予防

早食いをする人は、そうでない人に比べて3倍、肥満になりやすいという研究結果があります。通常、食事をすると満腹中枢が働いて「お腹がいっぱい」というサインを発信しますが、それまでに約15~ 20分はかかります。つまり、早食いは満腹中枢が働き出す前に食べすぎてしまうのです。これを予防するには、1口で20~ 30回はかむ習慣をつけましょう。食べすぎを予防するには、汁ものやおかゆ、雑炊など水分が多いものや、野菜や海藻、きのこ類など食物繊維が豊富で低エネルギーの食品を上手にとり入れましょう。

特にとりたい食品・成分

玄米 主食としてご飯を食べるなら、食物繊維が白米の3倍ある玄米にするとよいでしょう。よくかんで食べるとさらに効果的です。

野菜類・海藻類 食物繊維を豊富に含んだ野菜や海草類は、血糖値の上昇を緩やかにしたり、体内の余分な糖分を排せつします。

生活習慣を見直す

歩く時間を増やす 散歩をしたり、なるべく階段を使うようにするなど、体を動かすようにしましょう。

こんな人は要注意

  • 急に体重が減った
  • 目がかすむ
  • のどが渇く
  • 疲れやすい
  • トイレの回数が増えた
  • 身体がかゆくなる
  • 血縁の家族に糖尿病の人がいる

HbA1c/過去1~2か月の平均血糖値を反映した値で、糖尿病の治療や血糖のコントロールの良否には欠かせない検査値です。6.5%以上だと糖尿病が強く疑われます(日本糖尿病学会の基準)

参考資料「栄養の教科書」